私もNFLを本格的に見始めてまだ数年なので、サラリーキャップのことを理解していません。こうやってブログを書きながら見ていきたいと思います。
まず、一般的にサラリーキャップ制というのは、チームが選手に支払う総年俸の上限(と下限)を決めて、戦力均衡を図るやり方です。NFLやNBA、MLBやNHLなどアメリカンスポーツは強弱の差はありますがだいたいこの制度を使っています。一方、日本のプロ野球やJリーグはこの制度を導入していません。ですので、日本プロ野球のソフトバンクの年俸総額が中日の約2倍だったり、JリーグJ1・ヴィッセル神戸の年俸総額は大分トリニータの25倍(!)だったりします。
ではNFLのサラリーキャップ制とはどういったものなのか。
(※以下、NFL公式のこのページを参考にしています。またこちらも参考にさせていただいています。)
NFLの選手の給料は、
①基本給(ベースサラリー)
②契約金(サイニングボーナス)
③出来高(インセンティブ)
の3つに分かれます。
このうち、その年のサラリーキャップに計上されるのは、①、②、そして③の一部です。それぞれについて見ていきます。
①基本給(ベースサラリー)
選手のまさに基本給です。レギュラーシーズンが17試合ありますので、1試合につきこの基本給の1/17が選手に支払われます。出場停止を食らうと1試合につき1/17が没収されます。サラリーキャップには基本給の全額が計上されます。
②契約金(サイニングボーナス)
契約した時にもらえるお金です。選手の契約は1年や5年など様々な年数がありますが、サラリーキャップには契約金をその契約年数で割った額が計上されます。
③出来高(インセンティブ)
選手が予め決めた一定の成績を収めた時に支払われるお金です。このインセンティブがサラリーキャップに加算されるかどうかは、その選手がその成績を実現可能か(Likely to be earned "LTBE")どうかで決まります。実現可能かどうかは前年のその選手の成績によります。
----
例えばQBラッセル・ウィルソンの場合、
契約年数・・・5年(2019〜2023)
①基本給(ベースサラリー)
2019・・・$5M
2020・・・$18M
2021・・・$19M
2022・・・$19M
2023・・・$21M
(Mは百万、$5Mは5百万ドル(約5.5億円)です。)
これはすべてサラリーキャップに計上されます。
②契約金(サイニングボーナス)
$65M・・・これを5年に分けて計上しますので、2019〜2023に$13Mがサラリーキャップとして計上されます。
③出来高(インセンティブ)
公開されているのは2022年のロースターボーナス(選手登録されたらもらえるボーナス)が$5M、2023年も同じく$5Mのロースターボーナスです。これは確実に実現可能ですからサラリーキャップに計上されます。
結果、QBラッセル・ウィルソンのサラリーキャップ計上額(キャップヒットと言います)は、
2019・・・$18M(=$5M+$13M)
2020・・・$31M(=$18M+$13M)
2021・・・$32M(=$19M+$13M)
2022・・・$37M(=$19M+$13M+$5M)
2023・・・$39M(=$21M+$13M+$5M)
となります。
これまで、選手との契約では、目先のサラリーキャップ計上額を小さくするため、契約の初年度は基本給を少なくし、そのあと急激に基本給を上げていくという「バックロード型」の契約が多く行われていました。しかし今年から、基本給は前年の基本給+30%を超えてはいけないというルールが制定されました。今後は激しいバックロード型の契約はできなくなります。
(極論を言えばこれまでは初年度$1(1ドルです)、2年目$10M、3年目$30Mのような契約が可能だったのですが、今後はできなくなります。)
また、契約途中で選手を解雇・トレード・引退とすると、「デッドマネー」が発生します。これは、契約途中で解雇した選手の契約金を、解雇・トレード・引退後も元いたチームのサラリーキャップとして計上するもので、選手の雇用を維持するために役に立っています。このデッドマネーは、解雇した年に残りの契約年数の契約金すべてを計上しなければなりません(去年までシーホークスはこれに悩まされていました)。
例えばもし(ありえませんけど)上のQBラッセル・ウィルソンを2021年にカット(契約解除)した場合、契約金のキャップスペース計上の残りが2021〜2023年の3年分ありますので、$13M×3=$39Mがデッドマネーとしてまとめて2021年のキャップスペースに計上されます。
カットしなかった場合の2021年のキャップヒットは$32Mですから、カットによって$7Mキャップヒットが増えることになります。
(キャップセービング(Cap Savings)と書かれているのはこれです。カッコが付いているのはカットするとキャップが増えることを示しています。)
もし契約途中でトレードになった場合は、トレード元のチームのサラリーキャップに契約金が計上され、トレード先には基本給と出来高のみがサラリーキャップとして計上されることになります。
また、以前は、6/1以降に解雇・トレード・引退とすれば、このデッドマネーを今年と来年に分けて計上できるというルールがありました。しかし、このルールは今年から廃止されたとのことです。以前は6/1に多くの選手が解雇されていましたが、今年はそういうことはなくなりそうです。
シーホークスのサラリーキャップが現在どうなっているかは、いくつかのサイトが調査しています。Over the Capとspotracが有名でしょうか。Over the Capで見ていくと、シーホークスのサラリーキャップの余裕は約$50Mで、NFLで11番目に多いです。クラウニーに$20M使ったとしても残り$30Mはありますので、さらに戦力補強ができます(通常は非常時のために$10M程度は残しておきます)。
選手のサラリーキャップ一覧を見ると、QBウィルソンが全体の約15%です。すごいですね。次の記事で書こうと思いますが、ルーキーの年俸総額はリーグとして決まっていて比較的安いので、QBがルーキーのうちに他のポジションを補強してスーパーボウルを狙う、というのが定石になっています。今年のチーフスがその恩恵を受けましたね。QBマホームズは近いうちに巨額の契約を結ぶでしょうから、チーフスは今後他の選手の年俸を抑えつつチーム運営をしなければならなくなります。
今回はこんなところで。次回は選手の年俸の決まり方について書いてみたいと思います。
まず、一般的にサラリーキャップ制というのは、チームが選手に支払う総年俸の上限(と下限)を決めて、戦力均衡を図るやり方です。NFLやNBA、MLBやNHLなどアメリカンスポーツは強弱の差はありますがだいたいこの制度を使っています。一方、日本のプロ野球やJリーグはこの制度を導入していません。ですので、日本プロ野球のソフトバンクの年俸総額が中日の約2倍だったり、JリーグJ1・ヴィッセル神戸の年俸総額は大分トリニータの25倍(!)だったりします。
ではNFLのサラリーキャップ制とはどういったものなのか。
(※以下、NFL公式のこのページを参考にしています。またこちらも参考にさせていただいています。)
NFLの選手の給料は、
①基本給(ベースサラリー)
②契約金(サイニングボーナス)
③出来高(インセンティブ)
の3つに分かれます。
このうち、その年のサラリーキャップに計上されるのは、①、②、そして③の一部です。それぞれについて見ていきます。
①基本給(ベースサラリー)
選手のまさに基本給です。レギュラーシーズンが17試合ありますので、1試合につきこの基本給の1/17が選手に支払われます。出場停止を食らうと1試合につき1/17が没収されます。サラリーキャップには基本給の全額が計上されます。
②契約金(サイニングボーナス)
契約した時にもらえるお金です。選手の契約は1年や5年など様々な年数がありますが、サラリーキャップには契約金をその契約年数で割った額が計上されます。
③出来高(インセンティブ)
選手が予め決めた一定の成績を収めた時に支払われるお金です。このインセンティブがサラリーキャップに加算されるかどうかは、その選手がその成績を実現可能か(Likely to be earned "LTBE")どうかで決まります。実現可能かどうかは前年のその選手の成績によります。
----
例えばQBラッセル・ウィルソンの場合、
契約年数・・・5年(2019〜2023)
①基本給(ベースサラリー)
2019・・・$5M
2020・・・$18M
2021・・・$19M
2022・・・$19M
2023・・・$21M
(Mは百万、$5Mは5百万ドル(約5.5億円)です。)
これはすべてサラリーキャップに計上されます。
②契約金(サイニングボーナス)
$65M・・・これを5年に分けて計上しますので、2019〜2023に$13Mがサラリーキャップとして計上されます。
③出来高(インセンティブ)
公開されているのは2022年のロースターボーナス(選手登録されたらもらえるボーナス)が$5M、2023年も同じく$5Mのロースターボーナスです。これは確実に実現可能ですからサラリーキャップに計上されます。
結果、QBラッセル・ウィルソンのサラリーキャップ計上額(キャップヒットと言います)は、
2019・・・$18M(=$5M+$13M)
2020・・・$31M(=$18M+$13M)
2021・・・$32M(=$19M+$13M)
2022・・・$37M(=$19M+$13M+$5M)
2023・・・$39M(=$21M+$13M+$5M)
となります。
***
これまで、選手との契約では、目先のサラリーキャップ計上額を小さくするため、契約の初年度は基本給を少なくし、そのあと急激に基本給を上げていくという「バックロード型」の契約が多く行われていました。しかし今年から、基本給は前年の基本給+30%を超えてはいけないというルールが制定されました。今後は激しいバックロード型の契約はできなくなります。
(極論を言えばこれまでは初年度$1(1ドルです)、2年目$10M、3年目$30Mのような契約が可能だったのですが、今後はできなくなります。)
また、契約途中で選手を解雇・トレード・引退とすると、「デッドマネー」が発生します。これは、契約途中で解雇した選手の契約金を、解雇・トレード・引退後も元いたチームのサラリーキャップとして計上するもので、選手の雇用を維持するために役に立っています。このデッドマネーは、解雇した年に残りの契約年数の契約金すべてを計上しなければなりません(去年までシーホークスはこれに悩まされていました)。
例えばもし(ありえませんけど)上のQBラッセル・ウィルソンを2021年にカット(契約解除)した場合、契約金のキャップスペース計上の残りが2021〜2023年の3年分ありますので、$13M×3=$39Mがデッドマネーとしてまとめて2021年のキャップスペースに計上されます。
カットしなかった場合の2021年のキャップヒットは$32Mですから、カットによって$7Mキャップヒットが増えることになります。
(キャップセービング(Cap Savings)と書かれているのはこれです。カッコが付いているのはカットするとキャップが増えることを示しています。)
もし契約途中でトレードになった場合は、トレード元のチームのサラリーキャップに契約金が計上され、トレード先には基本給と出来高のみがサラリーキャップとして計上されることになります。
また、以前は、6/1以降に解雇・トレード・引退とすれば、このデッドマネーを今年と来年に分けて計上できるというルールがありました。しかし、このルールは今年から廃止されたとのことです。以前は6/1に多くの選手が解雇されていましたが、今年はそういうことはなくなりそうです。
***
シーホークスのサラリーキャップが現在どうなっているかは、いくつかのサイトが調査しています。Over the Capとspotracが有名でしょうか。Over the Capで見ていくと、シーホークスのサラリーキャップの余裕は約$50Mで、NFLで11番目に多いです。クラウニーに$20M使ったとしても残り$30Mはありますので、さらに戦力補強ができます(通常は非常時のために$10M程度は残しておきます)。
選手のサラリーキャップ一覧を見ると、QBウィルソンが全体の約15%です。すごいですね。次の記事で書こうと思いますが、ルーキーの年俸総額はリーグとして決まっていて比較的安いので、QBがルーキーのうちに他のポジションを補強してスーパーボウルを狙う、というのが定石になっています。今年のチーフスがその恩恵を受けましたね。QBマホームズは近いうちに巨額の契約を結ぶでしょうから、チーフスは今後他の選手の年俸を抑えつつチーム運営をしなければならなくなります。
***
今回はこんなところで。次回は選手の年俸の決まり方について書いてみたいと思います。
なかなか詳しくまでは分からなかったので非常に助かります。
まずはクラウニーさんとの再契約ですね。